2009/06/09 更新

レンズの独り言 BY Marcy

カオラック・バンナムケンからのスピードボートに濡れた一日の恋 BY うつぼ

メキシコでは死ねません BY ハンマーヘッド

だむなーむ第69号

会報2009年5月号

 

メキシコでは死ねません

by ハンマーヘッド

 

 

北米・メキシコ支部長のハンマーヘッドです。
2004年迄は、タイオンリーダイバー。今もみんなに愛用されている(はず?)の、パタヤ、サタヒップ、サメサンエリア全域をカバーした、Wakayamap(ワカヤマップ)手書き水中地形図の製作者として、タイだけで1,000本以上潜っていたのですが、今はすっかりメキシコダイバーに鞍替えしました。

通り過ぎてしまっても、尾ビレを撮る程度だったら、そんなに頑張らなくても付いて行けるスピードだと思います。

 

 

かなり大きく左右に振るので、尾ビレの形がきれいに見える時が有ります。その大きさも印象的ですし、身のくねらせ方も優雅です。さらにヒレに肉薄するには、縦位置で撮るのもお勧めです。

 

そして、以前も書きましたがアオリです(イカではありません)。

 

特に波が無くて晴れていれば、バックに空や雲まで入れ込めるかも知れません。

太陽をどこに入れるかですが、逆光に弱いデジカメの場合、ジンベエの体に隠してしまう方が白飛びは回避できるでしょう。

シルエットになっても、全く構わないと思います。

(撮影はアナゴ隊員:正面左のカメラを見ているのが私)

 

しかしこの時期、毎日夕方近くなると雨が降りますので、この日も、3本目に向かう頃から雲行きが怪しくなり、3本目から桟橋に戻る時には、ひどい降りです。

激しい雨にスピードボートの中は、どこに座ろうが立とうが、滝に打たれて修行をしに来たみたいです。ドライスペースは船の中に1cm四方もありません。

昨日から気分のすぐれないアナゴ隊員は、横になっていますが、寒さと、ぶつかって来る雨つぶに今にも死にそうです。

 

アナゴ隊員は、明日は家族一緒にこの船を利用して、自分は潜水、家族はビーチでのスノーケリングと計画していた様ですが、この滝に恐れをなして急遽キャンセルしていました。

もっとシーズン真ん中の時期なら良いのでしょうが。

 

2日目も8時半にホテルに迎え。

アナゴ隊員が乗っていません。携帯に電話すると、壊したお腹に風邪まで引いて倒れているそうです。昨日の滝の修行が効き過ぎた様です。

私はてっきり、私が見せたタコが良くなかったのかと心配していました。

 

今日も走ること約1時間。

シミラン諸島の一番北の島周りで2本。

カメラマンのアナゴ隊員が来ていない時に限って、快晴無風、透明度抜群と言う状態。

2本目に島の東で潜っている時に、1本目で潜った島の北側でジンベエが出たとの事。

私は亀を2匹見て、もうそれで満足なので他所で何が出ようと気にしません。

 

その夜は夕食も兼ね、カオラックの街まで出てショップに立ち寄りました。

ガイドのまゆこさんに知らない魚の名前を教えて上げ、ログブックにスタンプを押してもらい、2日間5本の清算をしました。疑い深く隊員証の提示を求められましたが、どうにか潜水隊特別割引価格とやらを頂きました。有難う御座います。きっと安くなっているのでしょう。

御世話になりました。

 




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レンズの独り言

by Marcy

 

<これだけ出てくれるなら>

 

 

隊員の皆様、お元気でしょうか?

なんだかんだと言いながらGWが終わりました。

で、毎年この時期に何故か現れるジンベエザメ。

知る人ぞ知るで、GWだからと言うわけではなく、ジンベエ狙いにタオ島に潜りに来る人もけっこういらっしゃいます。もちろん隊員のうち、有志!の方々は日本からの大勢のお客様に混ざって、地元ならではの勝手知ったる海を謳歌していらっしゃいました。あ、ガイドに付いて来ないという意味ではありませんよ。

 

これだけジンベエが出ているのだから、今年は特に当たり年と言って間違いないでしょう。

いつもの年ならGWの前半は出たけれど後半はダメだったとか、その程度なのですが、ここまで頻度が高く、しかも続くとは思いませんでした。

私の記憶では過去10年間に1度有ったきり(その時は3月が高確率でした)です。

 

タオ島やセイルロックで出るジンベエは、根が居着き易い規模や形状なのか、出る時にはずっと同じポイントで見られることが多く、しかも行ったり来たりするので、追いかけなくても長時間観察や撮影ができる、という、ジンベエが単に出るだけではない魅力が有ります。

 

そんな状況であれば、単なる証拠写真ではなく、いろいろなカットが撮れる筈。

まあ、横や斜め前からというのは普通に撮ると思うので置いておき、その他のアングルの例を挙げてみます。

 

まずバックショット。

日本なら「クロコダイルが生息しているので遊泳 禁止」だと思うのですが、この辺がメキシコらしくてなかなかいい感じ。


メキシコのラグーンにはクロコダイルがたくさん生息しているのですが、広いラグーンならば、遭遇率も低いかもれないけれど、こうした小さい沼であれば、かなりの高確率で出くわすのではないかという期待と不安。
 
で、早速マリーナにダイビングタンク運搬しているトラックのオジサンを見つけ出し、ダイビング場所は告げずに(クロコダイル沼で潜るなんて言うと止められるかもしれないので)タンクを借りて来て、単独ダイビングをトライする事にしました。


さて、ちゃんとクロコダイルと遭遇する事が出来るだろうか。
海の生物は基本的に防衛本能で行動するものだが、淡水のクロコダイルに同じ理屈が通用するのか、それとも闘争本能丸出しで襲い掛かってくるのか、ナイフを持って来なかったけど、その場合にはちゃんと闘えるものなのか。
まあ、あまり考えても仕方ないのでとにかく潜る。


 
ダイビングを開始して直ぐ、沼の奥に水中洞窟の入り口を発見。
丁度前日に使ったナイトダイブ用のライトを持っていたので、早速探検。
クロコダイルより洞窟の方が安全そうだし。
でもこの洞窟がクロコダイルの棲家かも。
まあ、あまり考えても仕方ないのでとにかく潜る。


驚いた事に奥はとんでもなく深く、シングルタンク、小型ライト、バディー無しの単独ダイブ、ガイドラインも持たず、ちょっとヤバイかなと思いつつも、好奇心には克てず、奥へ奥へ。


 
完全な闇の中、かつて潜ったダイバーが張ったと思われるガイドラインを発見、それを目安に、奥へ奥へ。


洞窟は、高さ数メートルの水中防空壕のような感じで、これが自然に出来たのが、とても不思議に感じました。
丁度ベトナム戦争中に掘られた数十キロも続くサイゴンのあの地下通路の雰囲気です。
通路の底は石灰岩のチリが積もっており、中性浮力をとらないとあっという間に透明度ゼロになってしまう。
クロコダイルどころか魚も全くいなくて、何と言うか水中墓場への通路という感じです。


あ、石灰岩のチリの中に何かが埋まっている、なんだ?
おー、ウミガメの白骨死体だ。
あー、水中カメラを持参しなかった事を心底反省。


しかし洞窟は更に先があり、とにかく前進。
延々と続く洞窟の中、残圧120になったので、ぼちぼち引き返そう。

 

1/3 ルールはケーブダイブの基本ですね。1/3は復路、1/3は帰路、1/3は予備。

ところが世の中は物事おもうようには進まないもんで、途中からライトの光が怪しげになり、先ほど発見したウミガメの白骨死体の辺りで、完全に切れてしまった。


これはまずい。慌ててガイドラインを探し当てなくては、これが細い釣り糸みたいなもんで、実に頼りにならない1本の糸。
でもこの時はまさに命綱。
切れないように外れないように、完全な闇の中でこれを手探りで伝っていくしか無い。
残圧計も見れなければ、ダイコンも見えない。


ここでパニックになってはいかん、ダイビング教材の教えの通り、とにかく深呼吸、深呼吸。
ダイバーの死に場所としてはかなり理想的な場所なのかもしれないけど、やっぱり死にたくない。


ひたすら手探りダイビングを続けて数十分。
遠くに出口の仄かな太陽光がうっすらと見えた時は、やれやれ今回も死ななくて済んだと安堵。


無事洞窟を脱出、外は人っ子一人いないジャングルで平和な景色でした。
あー、死ななくて良かった・・・。
マジ怖かった・・・。

 
という事で、北米・メキシコ担当は今日も元気にダイビングをしてます。




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投稿

 

 

カオラック・バンナムケンからのスピードボートに濡れた一日の恋

by うつぼ

 

 

ソンクランの前の3連休に、未だ混んでいないだろうと、先のシリキットの旅行博で購入して、タンスに仕舞い込んでいた、カオラックのホテルパッケージを急に利用することにしました。

 

出発の一日前に嫁さんが急に勝手に決めるので、潜る予定も立てておらず、近所に住むアナゴ隊員が、同じ時期にカオラックに家族旅行のはずなので尋ねてみると、ビッグブルーの日帰りツアーを予約しているそうです。

それでは私も一緒にそれを利用しましょうと、プーケットの飛行場についてから、ホテルの送迎車の中から、カオラックの店に電話を入れました。

 

潜水隊の会報に宣伝が出ているくらいなので、てっきり電話に日本人が出るのかと思っていたら「ヘロー・ディスイズ・リック」なんて英語で受話器を取られたので、平均的日本人の私は一瞬焦って携帯を窓から投げ捨てようかと思いました。

そして、つい「ヘロー・ハワーユー・ワッツユアネイム」と反射的に答えてしまいました。

(俺の名はリックって言ってるでしょ!)。

中学生の時に頭に叩き込まれた構文「郵便局はどこですか?」が出なくて良かった。

 

明日の船に一席だけ余裕がありますと、商売上手なリックちゃんが答えますので、さっそく予約。最後にリックちゃんが「サンキュー」なんて愛想のいい事を言うので、また反射的に「サンキュー・ワッツユアネイム」と言ってしまいました。

(俺の名はリックって言ってるでしょ!)。

 

次の日の朝、ホテルに店の迎えが8時15分に来てくれました。

泊まったホテルが、カオラックの中心より北に10km離れた街にあるので、逆に、更に北にあるバンナムケムの桟橋には近く、朝はゆっくりです。

アナゴ隊員も乗っていますが、青い顔をして、お腹を壊してマイサバイだと言ってます。

今日は注意して、彼の潮上に位置し、汚物汚染の危険を避けて潜りましょう。

 

桟橋を9時半出航。

ホンダマリンのエンジンを3つ並べたスピードボートは20名程度で一杯です。スタッフを除くと、お客さんが15、6名でしょうか。日本人はアナゴ隊員と私とそれに日本からの旅行者2名を入れて4名。

 

快晴。

一時間も掛からずリチュリーロック到着。

ガイドは可愛いまゆこさん。以前、田尾島でお会いしたそうですが、私はガイドの尻を見ずに、海老の観察に夢中になるタイプですので覚えていませんでした。向こうは、私の驚くべき魚の知識を記憶しておられた様子で、アンダマン固有種の説明はもっぱらアナゴさんに向けて行なっています。

 

昼食を挟んで2本。

一本目は、島の東に停泊した船から、根を南側から回り込み一周、2本目は根の真ん中を横切ってのんびりダイブ。アナゴ隊員はカメラを持って潜っていましたが透明度は今一と言うところ。タコが身体の表面を尖らせて怒っていたので、アナゴさんのフィンを掴んで、教えてやったのですが、彼は戻って来て、私の指しているのがタコと判った瞬間に一瞥もせずに砂煙を立てて向こうに行ってしまいました。此処ではタコでは感謝されないみたいです。

2本潜って、3時には一旦帰港。

 

一部の客を降ろして、船はまた、桟橋から10分程度の距離まで走って、そこの沈潜で3本目を潜りました。タンカー風に大きな船で、濁っていましたが、大変に魚影の濃い人口根です。

(Cozumelの可愛い魚)

 

で、一人で暇な連休にCOZUMELで潜って来ました。

今回は、写真では御紹介できませんが、久しぶりに命を落としそうなダイビングをしましたのでレポートします。

COZUMELは日本のダイバーでも有名な、メキシコを代表するダイビングアイランドですが、中心街から車で30分程、島を周遊する幹線道路を走るとマリーナ入り口の側道があります。
このマリーナがダイビングボートの発着所なのですが、側道の中ほどで道を外れてジャングルの中に入って行くと、小さな綺麗な沼があります。


沼は歩いて一周しても数分しかかからない、沼というよりも泉に近い感じです。
沼の入り口には警告板に「クロコダイルが生息しているので自分のリスクで泳いで下さい」と書いてあります。

何が良いかは一目瞭然。ジンベエの特徴である背中の「甚平柄」が、一番きれいに見えます。

もう一つの特徴である頭の四角さもわかり易い。

全身が入らない場合でも、胸ビレや背ビレ辺りまででフレームを切ってしまう。あるいは頭部だけ、というのも迫力感が有るかも知れません。

 

この他、バックに人を入れる。

タオでは大勢のダイバーがジンベエを見る機会に恵まれますから、そういったシチュエーションもわかりますし、驚いていたり興奮していたり、のリアクションがわかると面白い画になると思います。

人が入ると大きさの比較もできますし(くれぐれも手前には人を入れないで下さい。ジンベエが小さく見えてしまいます)。

 

今年はまだまだ出てくれそうなので、皆様チャンスに恵まれたら是非いろいろな撮り方をしてみて下さい。

そのためにはもっとタオ島来訪、そしてクルーズへのご乗船もお待ちしております。

 


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コンデジでは、ワイドコンバージョンレンズでも着けない限り、ジンベエの全身を入れるのは難しく、どうしても離れなければなりません。

被写体との距離が遠く、間に入る水が多ければ多いほど、クリアな写真は撮りにくく、浮遊物も沢山拾ってしまいます。

 

そのような場合でも、水面を入れたアオリならば、コントラストがはっきりして(水面が明るいので当然ですね)濁りも気にならないカットが撮れると思います。

 

 

 

そしてアオリの反対、俯瞰(フカン)です。